2010-02-15

iPadが欲しい理由と、売れないと思う理由

iPad購入するかどうかで揺れる日々が続いていますが、実は予算的な問題はクリアできそうなので購入は出来ない、ということはなくなりました。しかし、どうしても引っかかる事があって購入をするかどうか悩んでいます。それはこのガジェットが「売れるか?」ということです。


iPodtouchやiPhoneの普及、タッチパネルを備えたスマートフォンの増加など、タッチパネル操作のコンピュータは一昔前に比べずいぶん身近になりつつあります。

しかしパソコンに限って言えば、タッチパネルはマウスとキーボードという最強タッグの大きな壁に阻まれ、なかなか普及が出来ないでいます。マイクロソフトはもう10年近くこのタッチパネル普及に取り組んでいましたし、既に様々な機器がこの世に送り込まれ、そして消え去っています。

しかしマイクロソフトの最新のOSであるWindows7でもマルチタッチが標準機能として採用されるなど、いまだタッチパネルの夢は潰えていません。指先やペンで操作ができるタッチパネルのコンピュータはキーボードやマウスに比べ圧倒的に敷居が低く、コンピュータが道具として進化する上で外せないキーワードだからでしょう。

しかし30年近くにもわたって使い続けられてきたマウスとキーボードは、使いやすさではなく、それを習得してきた方達の「経験」という武器を持っています。どんなに敷居が高くても、その使い方を教えてくれる先人達がいれば、敷居の高さを超えることができます。

また、マウスとキーボードでの操作に最適化されたパソコンでは、タッチパネルだけでは操作が完結できない場面が多々あります。不自由な入力装置を補うために発展してきた各種機能が、先進的なタッチパネルでの操作を邪魔してしまうジレンマ。パソコンはマウスとキーボードという入力装置があってはじめて完成するように作られ、またそうであるべきと認識されてしまっているのです。

いくら直感的な操作が可能でも、それを補助する入力装置がなければ使えないのでは意味がありません。

パソコン以外でも同じ事が言えます。昨年12月に手に入れたDOCOMO N-02Bは優れたタッチパネル操作を備えていましたが、あくまでもテンキーを補助するためのものであり、最終的にはテンキーの操作が必要になるように設計されているため、結局タッチパネルを全く使わなくなってしまいました。

では、iPadはどうでしょうか。

iPodtouchやiPhoneの上位機種と位置づけられているため、洗練された操作体系を踏襲していると思われます。外付けのキーボードもオプションで用意されていますが、基本的にはタッチパネルでの操作で全てが完結するため、上記に挙げた例のように別の入力装置が必要となることもありません。

またMacbookなどの「パソコン」と比べ、簡単に起動ができてインターネットの閲覧やデジタルカメラのデータ読込なども可能なため、より気軽に使うことが出来ます。いざとなればタッチパネル内に表示されるソフトウェアキーボードでパソコンのように使うことも可能です。

最後のキーワードが「重量」です。今までのタッチパネルを持つノートパソコン達は使い勝手もさることながら、重量が1キロ前後とタッチパネルの最大の売りである気軽さを体感するためにはあまりにも重すぎました。

それに対して、iPadはWi-Fiモデルで680g、Wi-Fi+3Gモデルで730gとかなりのダイエットに成功しています。これに大きく縁取られた「手で持つエリア」を用意し、かつ厚みを約1.3cmと抑えることで飛躍的に持ちやすくすることに成功しているでしょう。

しかし、これらはあくまでも今までのタッチパネルを持つパソコンと比較してのことです。

680gを片手で持ち続けるなんて、非力な子供や女性では10分もしないうちに根を上げるでしょう。発表会のプレゼンでは組んだ足の上に載せて使っていましたが、子供がテーブルの上に絵本を置いて読むように、どこかに置いて使うというのが現実的な使い方になるでしょう。既に成功しているiPodtouchは115g、iPhoneでも135gと非常に軽いため、女性でも片手で簡単に持て、気軽に使うことが出来ます。これがiPadとiPhone、iPodtouchと大きく違う点です。

しかし2本指でピンチすれば拡大、縮小が思いのままですから、視力に難がある方でも本を顔に近づけたり、眼鏡や虫眼鏡などの天眼鏡が必要無いため、離してみていても不都合はないはずです。むしろ発色の良いIPS液晶を間近で見続けるよりも、適度な距離で見ていた方が目にも優しいでしょう。特に年配の方がインターネットを楽しむには、パソコンよりiPadのほうがよほど楽に閲覧が出来ます。

どこかに乗せたり、寝っ転がって持ち上げたり、立てかけておいたり。今までのパソコンとは決定的に違う気軽さで使うことを前提として作られたコンピュータ、それがiPadではないでしょうか。



このように様々な問題をクリアできるように設計されたiPadですが、唯一、かつ最も大きな問題は新しい操作体系に人々が慣れるかどうか。便利なことは分かっていても、身体に染みついたマウスやキーボードの呪縛から逃れられるかはわかりません。また、シングルタスクや10インチ未満の液晶などカタログスペックの低さと、iPhoneなどのソフト資産があるとはいえ、専用のソフトは未知数であることなど、全く新しいジャンルの機器であるが故の課題も抱えています。

iPodTouchやiPhoneで新しい操作体系の感動を知ったユーザーをどこまで取り込んで、その人達を伝道師としてどこまで良さを伝えてもらえるか。

販売後のアップル社のソフトウェアの充実やコミュニティの形成などのフォローが、最終的なiPadの成功を左右すると思います。

・・・やっぱり買ってつかってみないとダメだな、こりゃ。

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